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『夏彦の写真コラム』   [読書 本]





「人生は、じつは自分の外にある。 人生もなにもかも、すべて自分の内側にある、と思っている人がじつに多い。 したがって、うまくいかない人生が、じつに多い」 (片岡義男)






『夏彦の写真コラム』 山本夏彦・藤原正彦/新潮文庫 (平成16年 3月 1日 発行)
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週間新潮に23年間連載された名物コラムの極上エッセンスと唱われている。 この方の、芯がある、硬派の辛口ホンネが昔から好きだった。 近ごろの子は、こういうのは読まなくなったんだろうな。 だから、噛み合うわけがない。 勝手に老いていくしかない。



p24 「潔白なのは残念なこと」
 大きな声では言えないが、私は袖の下またワイロに近いものは必要だと思っている。 世間の潤滑油だと思っている。 人は潔白であることを余儀なくされると意地悪になる。 また正義漢になる。 下級官吏が意地悪だったり、新聞記者が正義を振り回しすぎるのは、彼らにワイロをおくる人も、またくれる人もいないせいである。

 だから中元と歳暮があるのだなと、私は思っている。 この時に持参すればおかしくない。 すこし金目のものでも、それは歳暮であって袖の下ではないと、思い思われることができて、古人は何とうまいことを考えたのだろうと、私は感心するのである。


p28 「やっと中流になったのに」
 羨望嫉妬こそ民主主義の基礎である。 まなじりを決して、以前は思いもよらなかったことまでねたんで呪って、心の安まる日がないのが、我ら中流である。 20万円の月給取りは、ン十万円の医師の収入を許すことができなくて、正義を持ち出して、その正義が嫉妬の変身したものだと思わなくなった。 それを指摘すると怒るようになった。

 醜いことは他人の生活をうらやむこと、尊いことは奉仕して恩に着せぬこと、素晴らしいことは感謝の念を忘れぬこと。 ― と私が言っても信じないなら、福沢諭吉が言っている。





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正義が多すぎて、テレビが暑苦しい。
貝殻になって、ぼんやりする。
人の不倫なんて、勘ぐるヤツがゲス。
昔から、DNAに織り込み済みだから仕方がないのさ。




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ライフ・ガードとか、ライフ・セーバーと言った。
オレたちガードは、なんて思い上がっていた。
毎日、厳しい訓練はあったけど。
浜辺で寝転んでると、ナンパ中と勘違いされるので、しない。

ノンビリ生きていたんだと、今にして思う。
公務員になってから変になったのかな。



ミステリー・ツアー顛末記はあしたのことaru。





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『ジャックはここで飲んでいる』   [読書 本]






要するに人生とは、関係の作り方とその維持のしかただから。 (片岡義男)






『ジャックはここで飲んでいる』 片岡義男/文藝春秋 (2016年5月9日 初版発行)
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「人生は、じつは自分の外にある。人生もなにもかも、すべて自分の内側にある、と思っている人がじつに多い。したがって、うまくいかない人生が、じつに多い」 「人生が自分の内側にあると思うな」


        片岡義男、健在なり。
        学生時代にこぞって読んだ、「雰囲気小説」である。
        基本的に彼の小説に出てくる女性は、かっこいいのである。

        8つの短編が収められていたが、スタイリッシュってところかな。
        石ころがジャガイモに変わる頃、読みあさった片岡さん、77歳でaru。
        妻と出会う前に読みまくっていたのを、懐かしく思い起こした。

        今回も、相変わらず、会話が中心になっている。
        会話の、まだ語られていない部分に仕掛けがあって、そっか、と落ち着く。
        他愛のない、それこそ喫茶店にaru、雰囲気の小説だ。

        誰にも薦めないが、学生時代に読みあさった者の特権で読んだ。
        去年の6月、市川の図書館で立ち読みし、お正月用に札幌で借りた。
        何かを照らしてくれたと思う。 ・・・よしっ。








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        妻を送った帰り、信号待ちで写した。
        お巡りさんだってケンタッキーが食べたいのだろう。
        しかしアメリカ映画のように、日本の警官が制服で食べているのは見ない。
        すると、事件か。




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        午後から大雪。
        そんな予報通り、前が見えない状態だから車には乗らない。
        図書館出先機関へ本の返却は、徒歩。
        すると昨日は、9000歩達成。




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『すばらしき父さん狐』   [読書 本]




           素晴らしきかな人生
           昔はそう言ったけれど、本当かしら。
           ある意味で、私は貝になりたい、よ。



『すばらしき父さん狐』 ロアルド・ダール 柳瀬尚紀]/評論社 (2006年1月30日 初版発行)
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p82
「この世のどこにだな、わが子が飢え死にしそうだってのに、ニワトリの二羽や三羽くすねもしない親がいるか?」

[あらすじ]  父さんギツネは生活のために意地悪な3人の農場主たちからニワトリやアヒル、七面鳥を盗み出していた。これが原因で3人の農場主たちは鉄砲で父さんギツネの尻尾を吹き飛ばしたどころか、ショベルカーでキツネ一家の住んでいた丘の上の森の大きな木の下の洞穴を荒らし、使用人たちを森に放って山狩りを始めた。キツネ一家は万事休すと思われた。


        とにかくよく戦うお父さん狐だった。
        常に家族を思い前向き、決断と行動がセットで素晴らしい。
        こんな婿殿が、来ないかなぁ。

        おそらくロアルド・ダールが、寝る前の子どもに語っていた話。
        寝る前に蒲団の中で読んでいた、おっさん。
        よく眠れる良い子に似たオッサンになれた。




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        昨日は良く晴れて、初春を思わせる陽気だった。
        と言っても最高気温は4℃だが。
        今日は未明から、しんしんと雪が降り続けている、雪国。



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       昨日の不愉快 1
        ・ 韓国 国定教科書の原案、改めて「慰安婦は強制」
        ・ 慰安婦問題や島根県・竹島についての記述は現在の検定教科書よりも増量。
        ・ 竹島については、検定教科書と同様に「韓国固有の領土」と明記。

        こういう教育を続けていれば、事実誤認の国民で埋め尽くされるのだろう。
        結局は、争いごとの種を自ら撒き散らしている韓国。
        はやく民主化してくれないと、洋服を着た野蛮人のままであるぞ。



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       昨日の不愉快 2
        ・ 覚醒剤使用の疑い、ASKA容疑者を逮捕
        ・ 2014年5月にも同法違反容疑で逮捕され、執行猶予期間中。
        ・ 尿検査で陽性反応が出たという。

        58歳にもなってバカとしか言えず、人生を失ってしまった。
        性犯罪と薬物犯罪は必ず繰り返す。
        禁錮期間ですら彼らには、次の実行までの妄想期間でしかないのだから。





        今日こそ不愉快にならないように、焼き芋を食べる。
        安納芋を、おやつに食べる。
        やっぱり、焼き芋がイチバンだ。




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『キリンの子』   [読書 本]





        いじめがなくなることはない、と彼が言った。
        そのとおりだと思う。
        人間のDNAには既に、いじめが組み込まれているのだろう。




揃えられ主人の帰り待っている飛び降りたこと知らぬ革靴




『キリンの子  鳥居歌集』 鳥居/KADOKAWA (2016年2月10日 初版発行)
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       普段、歌集を読むことはないが気になっていたので借りて読んだ。
       陽気なおじさんになりたい私には、暗いし重かったかな。
       もう、甘ったるい妄想の中に生きている年寄りには、キツかった。
        


          クラス中「いつも通り」を装って浮標のごとく我は泣きおり


          一つずつ命宿さぬ文字たちを綴り続けて履歴書できる


          大きく手を振れば大きく手を振り返す母が見えなくなる曲がり角


          理由なく殴られている理由なくトイレの床は硬く冷たい


          全裸にて踊れと囃す先輩に囲まれながら遠く窓見る


          病室は豆腐のような静けさで割れない窓が一つだけある





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        そう言えば以前、自分は高校教師だったんだと、最近は思う。
        センター試験まであと53日。
        この時期、いつでもパトロール、子どもたちの変化を見て歩き声をかけた。

        入水自殺未遂1件、教師生活の中で、これだけはキツかった。
        子どもたちの「安全」を確保するために、やるべきコトは沢山あった。
        教師の本当の仕事は、職員室にはないんだよね。



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キングプロテア/3240円]

文部科学省は21日、いじめへの対応が不十分だったとして、市教育委員会などに再発防止を指示した。◆横浜市役所を訪れた文科省の義家弘介副大臣は「学校や市教委などがしっかりと機能しなかったという反省点がある」と指摘。市教委の岡田優子教育長は「市教委全体で(いじめを)解決できる方法を検討したい」と話した。また、市教委は記者会見で、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に該当する不登校などを把握した場合、指導主事を学校に派遣し調査することを明らかにした。  (読売新聞/2016年11月21日 22時46分)

        何をやってんだろうな、相変わらず。
        学校の先生は、それだけで専門家でなくてはならない。
        それをさらに、いじめの専門家を作ろうとする、行政め。

        当たり前の感性を持った教師を採用、いや、作るのが先なのだが。
        元レスラーや元ヤンキーを文科省のトップに据えて、どこへ行くのだろう。
        「教育は人なり」、これを説明せよと、私は採用試験で問われたが。




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「コンビニ人間」   [読書 本]





       龍さんは最近どうしたのだろう。
       いやによく褒めるというか、絶賛する。
       全スペースを受賞作にだけ捧げ、後半は絶賛だ。

       第155回芥川賞受賞作
       「コンビニ人間」 村田沙耶香



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選評:村上龍 ◆(前略)◆「現実を描き出す」それは小説が持つ特質であり、力だ。隠蔽されがちで、また当然のこととして見過ごされがちで、あるいは異物として簡単に排除されがちな現実を描く、そして、正確な言葉を発することが出来ない人の、悲しみ、苦悩、嘆き、愚痴、数奇な行動などをていねいに翻訳し、ディテールを重ね、物語として紡ぐことで本質的なことを露わにする。今に限らず、現実は、常に、見えにくい。複雑に絡み合っているが、それはバラバラになったジグソーパズルのように脈絡がなく、本質的なものを抽出するのは、どんな時代でも至難の業だ。作者は「コンビニ」という、どこにでも存在して、誰もが知っている場所で生きる人々を厳密に描写することに挑戦し、勝利した。◆しかも「コンビニ人間」には上質のユーモアがあり、作者に客観性が備わっていることを示す。このような作品が誕生し、受賞したことを素直に喜びたい。




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去年の文藝春秋・九月特別号で読んだ2作品よりはずっと良い作品を読んだという感想を持った。力のある人なんだろうと思うし、人物設定に極端さと奇異さを感じつつも、あり得るだろうな、と思える現実がしっかり切り取られている。

コンビニではないが、サービス的な接客業に就いた次女の職業意識を知るにつけ、彼女にも、この作品のような音や空気が流れ始め、それに馴染んできたのだろうと考えて、面白いから読むがイイ、と薦めた。




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もちろん、おそらくだが、うちの次女は魅力的な女の子だし、親が言うのも妙な話だが、そんなに壊れている感じはしないのだよ。




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『顔に降りかかる雨』   [読書 本]




    桐野夏生のエッセイが教科書に載っていたように思う。
    そんなこともあり、彼の作品を読んでみようとふと思った。
    選び方を間違えれば、損した気分になることが分かった。


『顔に降りかかる雨』 桐野夏生/講談社文庫 (1996年7月15日 第1刷発行)
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p239
大事なのは変だと感じる感性と、何故だと考える想像力だ。

p369
私は気づかれないように、そっと物陰から彼女の写真を数枚撮った。それから、近所のカメラ量販店の「即日」という看板の出ているところで現像に出した。現像の上がるのは夕方。
 私は、公衆電話を探した



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色褪せる物は必ずあって、「写真の現像」も、「公衆電話」も、今では見かけない代物になっている。いつかテレビでやっていたけれど、札幌駅前で親子をつかまえて10円を渡し、息子が公衆電話から電話をかけるのを父親がそばで見る、というものだった。受話器を持ち上げてから10円を入れるということに、なかなか気づかない息子。 見ていた父親が驚いていたのが印象的だった。



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「江戸川乱歩賞受賞」作品は、考えてみれば、東野圭吾のそれも、まだまだ未熟というか、こねくり回した感じが抜けていない。出発点を読むのは、娯楽のためであれば、あれこれと突っ込みを入れたくなってしまうのも当たり前だった。だから、文句は言わない。


    犬のように待つか。 ワンワン。
    猫のようにさっさと寝てしまうか。 ニャーニャー。
    オジサンはおのぼりさんだから、散歩しながら考える。 キョロ、キョロ。



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『たった一人の熱狂』   [読書 本]




おそらくバイタリティー溢れる人って、疲れるんだろうなと思った。
行き止まりにつき進路変更のため、洗車中のような状態の私には、キツいし重かった。
図書館で予約しておいたら、季節外れに届いた本。

10代後半から、志を少しでも持つ連中のハートに火を付けそうで、図書館に予約していた。
たしかに、あの生徒会長さんには断片でも読ませてやりたかった気がする。
若者のハートに火を付ける、着火剤のような言葉が多かったけれど、おさんには重かった。

やりすぎだとか、よくまあそんなに頑張れるなあ、と以前は言われ人が離れていった。
現役時代の私は、こんな押しつけがましさがあったのだろうか、と少し恐怖する。
熱い言葉の乱射はあったけれど、うーむ、時代に合わなかったのかなー。






『たった一人の熱狂』 見城 徹/双葉社 (20015年 3月22日 第一刷発行)
  仕事と人生に効く51の言葉
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p15
 職を転々としながら、茫漠とした気持ちで天職を見つけようとしても、巡り会えるものではない。自分を痛めながら何かに入れ上げる。生き方の集積が全てを決めるのだ。

p31
 圧倒的努力ができるかどうかは、要は心の問題なのだ。どんなに苦しくても仕事を途中で放り出さず、誰よりも自分に厳しく途方もない努力を重ねる。できるかできないかではなく、やるかやらないかの差が勝負を決するのだ。

p77
 「有名人や芸能人と仲良くなるにはどうしたらいいですか」
 こんな質問をする時点で、その人はまったく見込みがないと思う。人はキミがどんなカードを持っているか、冷静に見ているものだ。キミの価値を決めるのはキミ自身ではない。相手だ。キミが仕事で結果を出し続けていれば、「あの人はキラーカードを持っている」と気づいた人が向こうから近づいてくる。

p90
 仕事ができない人間の共通点は、自分に甘いこと。思い込みが強いこと。小さなこと、片隅の人を大事にしないこと。約束を守らないこと。時間に遅れること。他者への想像力が足りないこと。

p165
 小さく生きて、小さく死んでいく。誠実に生きて、誠実に自分の運命を引き受けて死んでいく。





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昨日、札幌でも桜の開花宣言があった。別に彼らが宣言しようが、しまいが、既に、近所では咲いていたし、咲いて居なけりゃ咲いていないのさ。 どうも、気象庁の方って、ああやってテレビに出たがるのかな。もっと可愛い子がピンクのスカートはいて言ってくれるなら、おじさんも嬉しいけれど。 オレは宣言されなくても、自分の目で確認できるし、近所にも色々な種類の桜も咲き始めている。・・・ちょっと反抗的なおじさんなんだ。



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『星々の悲しみ』    [読書 本]




悔いを残したくないと思っている。
しかし、悔いが残るためには、やりたいことがなければならない。
それが果たせない時に悔いるわけだから、で、オレのやりたいことって、何よ。



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大学時代、文学部の卒論でお世話になった教授からの年賀状には、今年もいつもながらの長い手書き文章があった。「小生、今年喜寿を迎えます」で始まり、縦書きがスペースを失いナメクジのように進路を横に変えて、「・・・たように、自伝めいたものを書いておいた方がよいと思うがどうだろうか?」と結ばれていた。

1月からずっと気になっていて、「前へ」が主軸の前向き人生を歩む私が、ずっと今までのことをあれこれ考えるようになってしまっている。考えるだけで、恥ずかしくて、懺悔だらけで、いたたまれなくて、もう既に、怯えるだけのおっさんになってしまっている。そういう隙間の出来た心に、青春だとか恋愛がテーマの作品が、入り込んでくるようになってしまった。自身の、守りの弱さを感じている。






『星々の悲しみ』 宮本輝/文春文庫 (2008年 8月10日 新装版第一刷)
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p17
ぼくはぼんやりと、薄暗い部屋を囲むようにしてきちんと並べられている夥しい数の書物を眺めた。これらの本を、たとえすべて読破したからといって、希望する大学に入れるわけではないのだという考えが、ほんの少しのあいだ、ぼくに強い不安感をもたらした。頬杖をついて、ガラス窓越しに黒い雲が拡がったり縮んだりするさまを見ていた。大学にさえ入ってしまえば、本を読むことも女の子を口説いてみることも、気が変になるくらい勉強してみることも自由なのだと思うと、またいっそう腹立たしくなってきた。






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宮本輝の短編集を読んだのだが、全てに物足りなさを感じた。人物を描くのが上手な作家だと思うのだが、短編にしておくのが勿体ない。せめて連作短編にでもなっていれば、もっと違う楽しみが出来たのだけど、仕方がない。暫く宮本輝は休んで、違う作家に移る。大型長編が届いたから、そちらに心が転移してしまった。




少しだけ地味な生活が始まりました。というか、単調な生活。学生時代に戻ったような。


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『道頓堀川』   [読書 本]




朝5時では、妻が寝ているからテレビはつけないのだが、なんだか疲れていて、テレビをつけてボンヤリしていたら、大きな地震があったと言う話。 全く知らないで爆睡していたのだけど、震度7 は大きくて、心配になった。震源地の熊本への思いもあるが、鹿児島の方はどうだったか、三女の心配をした。親心なんだろうな。






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宮本輝という作家が居ることは知っていた。私がまだ、年長さんの学生稼業と甘ったれていた時代に、映画友だちと見に行った『泥の河』(1981年)に、溜め息を漏らしたことがある。登場する3人の子どもの演技、演技指導、演出が秀逸で、自分と同時代の光景でもあり、非常に良い映画だった。その作品の原作者は、宮本輝だった。 ただ、映画が良すぎて、原作へ回帰することはなかった。





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宮本輝の講演会CD『小説が生まれる時』を図書館で借りて、何度も聴いていた。親しみやすい大阪弁で、聴衆を笑わせる気配りのある語りだった。結核時代の話も、苦労話ではなく笑い飛ばす、「しなやか」な強さがある。聴いていて爽やかで、通勤特急のお供だった。好きになった。

    宮本輝
      1947年 兵庫県生まれ
      1970年 追手門学院大学文学部卒業
      1977年 『泥の河』/太宰治賞
      1978年 『螢川』/芥川龍之介賞
      1986年 『優駿』/吉川英治文学賞

ウィキペディアで、こんなエピソードを読むと、そう来たかと思ってしまう。
 雨宿りに立ち寄った書店で某有名作家の短編小説を読んだところ、書かれていた日本語が「目を白黒させるほど」あまりにひどく、とても最後までは読み通せなかった。かつて文学作品を大量に読んだことがある自分ならば、もっと面白いものが書けると思い、退社を決め、小説を書き始める。






『道頓堀川』 宮本輝/筑摩書房 (1981年5月25日 第一冊発行)
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カネなし、コネなし、単位なし。極貧学生の邦彦が生活の糧を求めて、道頓堀川に面した、戎橋近くの喫茶店「リバー」に住み込み、彼の目を通してその界隈の、わけありな人と人情が交錯していく。この作品は作者が「あとがき」で書いているように、短編作品として世に問うた後、大幅に加筆訂正、書き加えをしており、作品の「一貫性」としては微妙にズレを感じたのだった。

ズレは視点で感じだのだが、W主人公と捉えれば、各章ごとに主人公を入れ替える体裁を整えたのかなと思った。主人公である邦彦に、優しい目を向ける店主の武内がもう一人の主人公であり、その、彼らを内包する道頓堀川こそが、本物の主人公だと改編したのではないか。

しみじみと、しんみりと、読み終えた。宮本輝が好きになった。さっそくもう1冊と『星々の悲しみ』を図書館に発注した。村上龍の予約待ちがあと2人まで迫ってきているので、先に来て欲しい。

私がミナミでバイトしていた頃より、数年前の時代設定だと思うが、現在にはない人情味を思い出し、感じることが出来る。なんとなく自分の、駆け出しの青春時代を思い出してしまった。ギラギラとはしていないのだけど、危険な季節を、羅針盤も持たずに生きていこうとしていた、あの頃。・・・少し思い出して懐かしく感じている。

「邦ちゃんも、いっぺん幸橋の上から道頓堀を眺めたらええ。昼間はあかんでェ、夜や、それもいちばん賑やかな、盛りの時間や」



水商売が好きなキリギリス君には危険な香りが、いっぱい。 周囲の者たちと、坂道を互いに転げていくのだから、遅いのか速いのか、堕ちているのかさえも分からない「キリギリス君」を思い出し、それでも愛おしいのはなぜだろうかと、『道頓堀川』を読んで考えている。



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『「いじめ」をめぐる物語』   [読書 本]




学校の図書室がファンタジーに侵食されている現状に抗って、国語教師の分際をわきまえた推薦図書を選ばせて貰っていた。村上春樹と村上龍に偏ることがないように、個人的趣味で、市立図書館ではほぼ1年待ちの東野圭吾の新刊もゴメン、入れてしまったが、それでも昨日読んだ1冊が入っているのだから宜しい。

ファンタジーも文学の一領域で、真っ向否定はしていない。しかし、あまりにもお手軽すぎる活字の漫画であれば、リクエストがいくらあろうとも、迎合しすぎてはいけない。正しく大人が毅然と薦める本があるべきで、「本腰を入れて読む」、「のめりこんでしまう」ものを選定すべきだと思っている。

ただ、悔しいことに、個人的に不買運動を展開している、売国の徒、朝日新聞出版からの本だから、1冊分、儲けさせてしまったようである。これは是非、図書館で借りて読むか、5つの短編集だから、立ち読みですませましょうぞ。



『「いじめ」をめぐる物語』 萩原浩 ほか/朝日新聞出版 (2015年9月30日 第一冊発行)
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「本当に不思議なのよ。気にくわない子が一人いる。その子が存在している事実それ自体が許せない。そこまで強く相手を嫌って、バカにできる労力は、どこから来るの? 普段、かかわる子供ひとりひとりの事例を見て、私はよく考えるけど、あなたから連絡が来て、企画書を読んで、今回、心から聞いてみたいと思った。私は当事者としてされたことをよく覚えている。今、大人になって、あの頃より言葉でそれを説明できるようになったあなたが会いにくるなら、聞いてみたいと思った」




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活字の漫画より、日日確実に、今そこでおこなわれている「虐め」は、なかなか表面には出てこない。だからこそ、読書の素材として、生徒諸君には読ませたいと思うのだった。大人の世界でも、自殺に追い込むほどの虐めがなされているのが現状で、モーツアルトの「ヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ」などを流しながら読んでいると、本当に暗く切なくなってしまう。オレじゃないよ、と思いながらも、ゴメン、とつい思ってしまう。

萩原浩、小田雅久仁、越谷オサム、辻村深月、中島さなえ、という5人の作家が、それぞれ切り口の違う作品を見せてくれている。いわゆる「落ち」の読めるものもあるし、「読ませる」筆をお持ちの作家だから、小さな小さな推理小説とも取れる。次年度も時間があるなら、課題図書にした所だが、やはり朝日に儲けさせてはイケナイという、天命であろう。




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小学4年生の、Rくんより
(前略) 2020年、5年に一度の和道会ワールドカップがあり、中学生の日本代表を勝ち取り、海外の選手と話ができるよう、じゅんびします。◆最後に、高校時代のお父さんと、お母さんの事を教えてくれてありがとうございました。  がんばってもうひとがんばり R



未来に目を向けて



ファイト!




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